北海道帯広市主催の「ばんえい競馬」で、騎手がレース中に馬の顔を蹴る動画が物議を呼びました。
動物愛護団体が「動物の愛護及び管理に関する法律違反」として刑事告発する事態に発展しました。
問題視された動画は2021年初めての能力検査となるもので、4月18日昼過ぎに行われた第18レース「ばんえい競馬」のデビュー前の馬の能力検査を行うレース中のことでした。
このレースは能力検査を受けるための馬7頭が、500キロ程の重さがあるそりを引き、2つ障害の坂がある200メートルの直線コースです。
レース展開は、前半は団子状態で、第2障害の山越にかかる後半戦付近で動きが出ました。
出場馬3頭が上り坂付近で立ち往生となり、問題となった2歳牝馬のドウナンヒメは、鈴木恵介騎手がムチを入れて発破をかけるも、馬は前脚の膝をついて鼻先を地につけました。
鈴木恵介騎手がそりから降りて、ドウナンヒメの左横から綱を1回引っ張った後に、左足でドウナンヒメの顔を蹴り上げました。
そして、馬の横から手綱を2回ほど引き、また左足で顔を蹴り上げました。
ドウナンヒメはリタイアしてレースには戻りませんでした。
このレース内容が「ばんえい十勝のユーチューブ公式チャンネル」で配信され、動物愛護団体や一部の動画視聴者の間で問題視されてしまいました。
厩舎の厩務員のコメント
「膝をついてしまって、鼻にたくさん砂が入り込んで手網を引いて頭を起こそうにも、また鼻をついてしまって、砂を吸い込むの繰り返しで、やむを得ずの判断をしたのだと思ってます。
起きることは出来たのですが、その後また膝をついていその場で競走中止しました。
厩舎までの帰路ずっと酷い咳をしていて、鼻から沢山砂が出てきました。
その砂が肺に入ったり詰まって、呼吸が出来なくなったりしなくて良かったです」
ドウナンヒメの馬主(馬の生産者)のコメント
「地面で砂食う状態で、窒息しないよう蹴ったと思う」
「馬が地面に何度も顔を着けたので、我々の言う『砂食う』状態で、窒息するかしないかでした。
馬は700キロぐらいするのもいますので、血流障害でしびれて前脚が立たなくなっていました。
顔が埋まって、呼吸が荒くなり、人の力では動きませんので、顔を横に向けるために(騎手の左足で)打ったのだと思います。
こうしたことは、昔はしょっちゅうありましたよ」
「現場にいませんでしたので詳細は分かりませんが、騎手に事実確認したところ、馬が言うことを聞かなくてイライラして蹴ったと聞いています。
ファンの方々の信用や信頼を失う行為だと認識しています。
当日すぐに本人を呼んで、厳重注意しました。現在は、処分を検討しています」
帯広市としてのコメント
「帯広市は、いかなる理由があっても認められるものではないとし謝罪するとともに、能力検査を行う際の監視体制を裁決委員を2人から3人に、
走路監視委員を3人から4~5人に増員し、
研修会などの場で指導・教育を徹底するとしています」
【騎手のコメント全文】
この度は全国のばんえいファンの皆様、いつも競馬を応援してくれている方々を不快な気持ちにさせてしまい、大変申し訳ありません。
ただ、自分としては何度も手綱を使い起そうとしましたが起きあがれず、あのままの状態では馬にとって相当の負担がかかり、早急に起こさないといけないと思い、とっさの判断で馬をビックリさせ、顔が上がったその反動で起こそうとした結果です。
決して馬に腹が立ち、イライラとして、という気持ちで取った行動ではないということをわかってもらいたいです。
そして、競馬に携わるすべての人が、馬に愛情をもって接していることを理解していただきたいです。
今回のことは深く反省し、今後はこのようなことがないようにいたします。
このニュースで思い出したのが、
軍事用に開発された馬型の運搬ロボットの関してです
開発者が馬型運搬ロボット足で何度も蹴る動画が公開されて、批判の対象となってしまいました。
開発者が行っていたのは転倒耐性のチェックでしたが、動画視聴者は「可哀そう、虐待だ」と感じたようです。
レース中の競走馬に鞭を入れるのは虐待か
そもそもレースさせるのが虐待に当たるのか
馬を柵の中で飼育するのは虐待か
言い出したらキリがありません
動物を利用するのも人間の文化なのではないでしょうか
馬が鼻から砂を吸い込むとどうなるのか
それを知らない人の批判が大勢だったのではないでしょうか