2021年4月13日
大手電力会社の4社による独禁法違反の疑いで、関連会社が公取委の立ち入り検査を受けました
カルテルを結んでいた疑いが強まったのは、いずれも電力大手の
公取委が大手インフラ企業間のカルテル容疑で立ち入り検査に入るのは、本件が初めてとなります
違法なカルテルの疑いがもたれている電力4社は、勢力下の中部地方、関西地方、中国地方において、オフィスビル向けや大規模工場向けの特別高圧電力や、中小規模の工場などに向けた高圧電力の販売で、トラスト提携会社による新規営業などを制限することを申し合わせるなどして、他地域の新規顧客の獲得を制限していた疑いが持たれています
公取委による立ち入り検査を受けた電力大手は、2018年ごろからこのカルテルを結んでいた疑いが持たれています。
電力自由化によってエリア外への電力販売が可能になったが、大手電力会社は自由な競争よりも「独占と談合」を選択したようです
そのしわ寄せは、当然ながら電力を使用する国民に押し付けられます
自由化による価格競争が起きなければ、電力は高止まりとなり、経済活動や国民生活に悪い影響を及ぼします
公取委による調べは電力関連だけに止まらず、公取委は同日に、中部地方での一般家庭向け低圧電力や、都市ガス販売でもカルテルの申し合わせにより価格維持を図っていた容疑で、
上記の3社も独禁法違反:不当な取引制限の容疑で立ち入り検査しました
日本の電気料金はあまりにも割高であり、国民の批判に耐えられなくなった当時の政権与党は、2000年から企業向けの電力販売に限って段階的に自由化しました。
2016年には家庭向けの電力小売りを含めた電力完全自由化となりました。
〇独占禁止法の罰則規定
ケースや違反行為によって罰則内容は異なりますが
私的独占や不当な取引制限などについては
法人は「5億円以下の罰金」(独占禁止法第95条)
個人は「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」(独占禁止法第89条1項1号、2号)
が科せられる可能性があります。
『排除措置命令』に背いた場合
法人は「3億円以下の罰金」(独占禁止法第95条)
個人は「2年以下の懲役または300万円以下の罰金」(独占禁止法第90条3号)
が科せられる可能性があります。
カルテルを規制する法整備が整っているアメリカでは、罰金刑だけではなく、法人保護観察や被害回復命令という刑罰があります
日本では財産刑のみです
一応、独占禁止法の事業者団体に対しては、解散宣告(95条の4)が規定されていますが、解散宣告が事業者団体に適用された事例がありません。
他には
外国会社に対する営業所閉鎖命令(会社法第827条)
解散命令(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第261条)
解散命令(宗教法人法第81条)
などがあります
解散命令と言えば
地下鉄サリン事件等によりオウムが宗教法人法による解散命令を受けました
日本も法人に対する罰則を強化するべきでしょう
そして、公取委による「捜査」ではなくて「検査」なのです
これが大いに問題となります
立件を想定した証拠集めではなくて、検査名目に止まるのですよね